2013年6月アーカイブ

食事中に触ると犬が怒るという癖は、何のメリットもない餌の「おあずけ」を厳しく、しかも面白がってか長くやったせいです。

食事中の犬のそばに近づくと、食べる速度が速まる、一瞬食べるのをやめて低く捻ってから慌てて食べる、捻りながら本気で噛みついてくる等々その症状には程度の差はありますが、いずれにせよ〈家族の一員〉がする行動ではありません。

育ち盛り、食べ盛りの子犬に、無意味で意地悪なしつけ(食べ物の「まて」)を厳しくしたためについてしまった悪癖を直すのは、容易ではありません。

高橋ナツコ
現に牡犬同士の喧嘩で、相手がキャンキャン鳴いて逃げるほどの大勝利をしたときの犬は首を上げて、実に堂々として誇らしげな表情をします。

犬にとっては恐怖のあまりとはいえ、飼い主を噛むということは辛くて悲しいことなのです。

気の小さい犬を、ここまで追い込んでしまった飼い主が考凡直すべきなのです。

アルファーシンドローム理論を説く人がまったく意図しないにもかかわらず、この理論の影響で、犬との関係を悪くして困っている飼い主が多いという事実は、なんとも皮肉です。

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犬は、飼い主に甘えたい気持ちがあるのに、その飼い主に何度も噛みついているので、いつも心底から気が休まっていないのです。

このような犬は、自分が飼い主より位が上だと思っているわけではないのです。

何故なら、このように飼い主に本気で噛みつく犬は、噛んだ後は申し訳なさそうな表情をして隅の方でうずくまって、上目使いで飼い主を見ています。

犬が自分の方が上位だから下位の飼い主を噛んだのだと考えていたら、飼い主を噛んだ後、堂々としている筈です。

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一度飼い主に噛みついた犬は同じような状況になると、その度に噛みつくようになります。

「やられる前にやる」という野生の本能です。

このような犬は、寝込んでいるところを飼い主がうっかり触ったりすると、びっくりしていきなり噛みついたりします。

この場合も力いっぱい噛みますので、大怪我をすることがあります。

度々飼い主を噛んでいるので、いつか自分がスキを見せると復讐されるとでも思っているようです。

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飼い主に向かって稔ったり、鼻にしわを寄せたりして歯をむき、そのときに犬のそばに手を出そうものなら、その手に本気で噛みついてくる犬がいます。

概して性格の弱い小型犬や野性味の強い日本犬やハスキー犬に多く見受けられます。

アルファーシンドローム理論の影響が多分にあると思いますが、いうことをきかない犬に、なめられてはいけないとばかりに、厳しく犬を叱ったり叩いたりしますと、もともと性格の弱い犬の場合、防御本能から防衛噛みをするようになります。

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各種の機械を使用するには、飛びつきやじゃれ噛み等の悪癖をやらないように、犬がある程度我慢する習慣がついてからの方が効果的です。

電流を通して犬に嫌な思いをさせる器具が多いわけですから、早く犬が学習して機械の使用を短期間で切り上げるべきです。

動物愛護運動の盛んな一部のヨーロッパの国では、電気ショックを与える機械の販売が禁じられています。

しかし、「夜中や早朝に犬が吠えるので、近所から怒鳴り込まれたり、無言電話がかかってきたりして困り果て、泣く泣く犬を保健所へ......というよりは」と考える人もいます。

この種の機械を使用するか否かの判断は、飼い主の考え方次第です。

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「リモートトレーナー」
これも最近売り出された器具で、小売価格は二万五千円とやや高いのですが、吠え声防止以外のしつけにも応用できるのでお薦めです。

機械の作動設定や操作はやや複雑ですが、八段階の強さの電流と、人間には聞こえないが犬が嫌う音を同時に流すことができます。

それらを飼い主が、離れた所からリモコンで作動させるようになっています。

音だけを鳴らしてから、通電操作をすると、犬が学習して、音だけで無駄吠えなどの悪癖をやめるようになります。

一般的な建築構造の家屋なら、二階の寝室からのリモコン操作で、屋外飼育の犬の首につけた機械を、作動させられます。

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「バークコントロールトレーニングシステム」
小売価格は一万五千円で最近売り出された商品です。

やはり吠え声をセンサーで感知して、電流のショックを犬に与える器旦ハです。

電流の強さを前もって六段階に調節する装置と、二十秒以上、犬が悲鳴をあげ続けた場合、電気が切れる仕組みになっています。

この機械は、他のカラーの上からつけたりすると、カラーとカラーがぶつかり合う音をセンサーが拾い、電流が流れることが頻発します。

注意が必要でしょう。

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犬が悲鳴をあげ続けていると電流も流れ続けてしまうので、犬が猛烈なパニックになると危険があります。

説明書は飼い主が首輪をおさえて、電気ショックを与えたらすぐ首輪をゆるめるように書いてあるので、それに従ってきっちりとやれば、この様な悲劇は避けられる可能性は高いのですが、特に神経の細い犬には薦められません。

ほかの姉妹品に、声帯の振動をとらえて電流を流すものや、リモコンで電気ショックを送るものなどがあります。

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「ワンストップ」
小型犬用、中型犬用、大型犬用、超大型犬用の四種類があります。

小型犬用が一万九千八百円で、ほかは一万八千円です。

器具の中に乾電池を入れて、犬の首の皮膚に、二本の金属製の角が当たるように、ややきつめに装着します。

犬が連続的に吠える音をマイクがキャッチして、二本の角から電流が流れます。

電流の強さの調節装置がないのと、電流のショックで犬が悲鳴をあげたときにも機械が作動してしまうのが難点です。

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ベットショップでは犬の無駄吠えを止める器具が何種類か販売されています。

それぞれの器具に一長一短があり、その選択は難しいのですが、買い求めるのなら、なるべく大きなペットショップで、品選びをしてください。


「アボアストップ」
小売価格は、中大型犬用が一万九千円で小型犬用は一万九千五百円です。

犬の首に装着して、犬が吠えるとマイクが感知して、犬の嫌がる臭いの液体が鼻先にスプレーされる仕掛けになっています。

液体の原料は無害なイネ科の植物で、安全性を考慮して作られていますが、犬によっては慣れてしまって効果がなくなる場合が多いのが難点です。

神経の太い犬の場合、その確率が高いようです。

その場合は、スプレーをマスタードに交換することができます。

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犬にリードをつけて来訪者と少し距離をとり、飛びつく癖を直す方法を来訪者にやってもらってください。

飼い主とその家族に飛びつく習慣がなければ、他人にも飛びつかないのが普通なので、もしも犬にこの癖があったらそれから直さなくてはなりません。

この種の犬は来訪者と早く接したいので、要求吠えをする場合があります。

テリトリーを守る吠え声との違いは、吠え声の間隔が少し空いていることです。

物を投げつけて黙らせてから来訪者を招き入れるか、ドアノブに手をかけたまま、しばらく横を向いて黙っています。

犬が鳴きやんだら来訪者に入ってきてもらうようにします。

少し時間がかかりますが、この方法の方が犬に学ばせるという点でベターです。

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噛みつきにいく犬よりは始末が良いと思いますが、基本的に来訪者を排除したいという点では阿じです。

やめさせる方法としては、やはり吠えたら天罰を落として静まったら褒め、好物のフードを与え来訪者にもやってもらいます。

この種の犬も来訪者が急に立ち上がったり、室内を歩いたりするとその都度吠えたてます。

天罰を落としてやめさせ、吠えやんだら褒めてください。

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出かける際は、犬に声をかけずに行ってください。

出先から帰ってきたときは、まず着替えを済ませてから声をかけずにケージの扉を開けて犬を出します。

飼い主が帰宅してからここまでずっと無言ですから、犬もあまり興奮しません。

犬が落ち着いていたら初めて褒めてあげてよいでしょう。

ときには犬の前で無言で振舞うということは、犬からすると毅然とした態度に見えるのでしょうか、大声で怒鳴ったりするよりはるかに有効です。

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昼間家人が家に居るときでも、犬をケージに入れて一回二時間くらい入れておいて、犬が中でおとなしくしているようにしつけます。

犬が出たがって騒ぐようでしたら、徹底して無視する方法をとるか、無言でケージを大きくゆすって犬をびっくりさせます。

かんしゃく玉のピストルも犬によっては有効でしょう。

ケージの中でおとなしくしている癖がついたら、出かける二、三十分前に犬をケージに入れてから外出の身支度をしてください。

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子犬のときから犬をケージに入れる習慣をつけないで、夜は誰かのそばで寝て、昼間も常に誰かが犬のそばに居るような場合、たまたま家人が全員出払ったときに、犬は不安と不満からくるあてこすりの行動として、数ヶ所に放尿したりします。

この場合、普段はやらないのに部屋中の物にいたずらをしたりします。

犬があてこすりをするほどの不満を感じる原因は、ほかにもいろいろあります。

犬が幼くてやんちゃ盛りのときからずっと、怒鳴ったり叩いたりして、いまだに頻繁に犬と飼い主がぶつかり合っている場合も、犬に嫌がらせの放尿の癖がつきます。

このようなあてこすりの放尿をしたときに叱っても、ほとんど効果はありません。

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人によっては、犬が人間に対してあてこすりで、こんな嫌なことをするかと思うと、腹が立つかもしれません。

しかし、これは犬が人間に近い感情を持っているという何よりの証左なのです。

飼い主と犬との信頼関係が確立されていれば、犬が何事にも納得して我慢するので、このようなあてこすりの行動はしません。

どういうときに犬はあてこすりの行動をとるのかを考えてみます。

犬が何かを要求して吠えたり騒いだりすると、大方その通りにしてやるが、たまに飼い主の都合で要求通りにしてやれなかった場合......これは、いわゆる猫っかわいがりされている犬に多く見受けられます。

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飼い犬の例ですが、一家の主人が朝出かける前に犬が悪さをしたので、手ひどく犬をどやしつけて家を後にしました。

犬は主人が出かけるや否や、二階の寝室に上がっていき、主人のベッドの上に大糞と大量の小便をしたのです。

これはもうリベンジ以外の何物でもないでしょう。

このようなあてこすり行動のための脱糞は稀ですが、放尿についてはしばしば相談を受けます。

脱糞は怒りの表現で、放尿は不満の表現ではないかと想像します。

不満に起因する放尿に対しても、飼い主はトイレのしつけの問題として相談してきますが、問題はまったく別のところにあるのです。

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犬は人間とほとんど同じ感情をもっています。

不満、苛立ち、あるいは怒りを、放尿やひどい場合は脱糞というかたちで表現します。

これは『シートン動物記』の一狼王ロボ」という短編の中にも書かれています。

狼の群れのボスであるロボは、人間が仕掛けた罠の虎鋏みを見つけると、石ころなどを後足でけってそれにぶつけて、はじかせておいてから、その上に脱糞をして通りすぎていくのです。

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犬にある程度長い時間、ケージの中にいる習慣がつくと、犬はそこが一番落ち着く場所であるというふうに、考え方が変わってきますが、そのためには犬にとって快適なケージを用意してやる必要があります。
屋根のないサークルだけの囲いは、好ましくありません。

元来、穴居動物である犬は、上を何かで覆われているところを安全な場所と考えます。

犬が低いテーブルの下とか椅子の下で、寝込んだりするのはそのためです。

種々のサイズで市販されているスティール製の折りたたみ式のケージの屋根の部分を、板かボール紙で覆ってやればよいでしょう。

隙間のあいている上部に板を置けば、それは犬にとって巣穴と同じ感覚になり、一番落ち着く場所となります。

ケージは冬はやや暖かいところ、夏は涼しいところに置いてあげてください。

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前もって昼間のうちに、ケージの中で要求吠えをさせない練習をしておいてください。

昼間もトイレの時間を見計いつつ、一時間、二時間と少しずつ時間を伸ばしながら、ケージの中にいる習慣をつけましょう。

昼夜合わせてかなり長時間、犬をケージに入れておくことを一週間も続けると、犬はすっかりケージ慣れして、それを自分の巣穴だと思うようになります。

普段ケージの扉を開け放しにしておくと、犬がゆっくり寝たいと思ったときに、自分からそこに入って寝るようになります。

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「ハウス」で一番大事なことは、ケージは犬にとって牢屋ではなく、安心して休める巣穴だと思わせることです。

もちろん最初のうちは、犬は閉じ込められるので外に出たがり、ケージを牢屋として考えます。

そこで、犬にとって居心地の良い敷物をケージの中に入れてやり、更に普段与えていない牛のひずめ(最近はほとんどのペットショップで売っている)とか、犬が好んで噛みたがるような物をケージの中に入れてやります。

食事もケージの中で与えるようにします。

犬が排便、排尿を済ませたことを確認して、家族全員の就寝前に犬をケージに入れると、朝までおとなしく入っています。

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褒めたときに必ずご褒美をやることをずっと続けると、犬はご褒美をもらうために、ちょっと悪さをして見せて、やめて、ご褒美をもらうという知恵を働かせます。

もしも、犬にその態度が現れ始めたら、ご褒美なしで褒め声だけにしてください。

犬は褒められるためだけでは、わざといたずらをしたりはしません。

ご褒美をあげるのは、犬の関心をこちらにひきつける意味で、最初のうちは非常に有効ですが、徐々に褒め声だけに切り替えてください。

しつけを始めて二ヶ月ぐらい経って、犬が大分良い子になったと思ったら、褒め声もその都度かけなくてもかまいません。

ただし、最近少し聞き分けが悪くなってきたなと思ったら、叱ることに重点をおかずに二、三日意識をして、よく犬を褒めてください。

すぐに元の良い子に戻ります。

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餌を見せて、興奮している犬に声をかけて「すわれ」とゆったりした声で命令します。

犬は餌の方に気をとられて、すぐに座ります。

そこで「まて」「おいで」そして「よし、いい子だね」といって餌を与えます。

これを二度か三度続けてやります。

犬は命令を受けてそれに従い、その代償を受け取ることで興奮状態から覚めます。

このようなことを繰り返しますと、犬が興奮から早く静まるようになります。

やがて、興奮する頻度が減ってきて、最後には、家の中で暴れ回るという習慣がなくなります。

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「すわれ」「まて」「おいで」の三つの命令は犬の興奮を静めるのに、非常に有効な手段になるのです。

子犬は餌を食べた後などに、いわゆるキレた状態で部屋の中を駆けずり回るということをやります。

このときに「こら、こら」とか「ダメ、ダメ」といっても、犬の興奮を煽るばかりで、ますます犬は暴れ回ります。

犬は興奮状態になると非常に始末が悪いものです。

このとき「すわれ」「まて」「おいで」が大変役に立ちます。

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繰り返しつつ、後ろへさがる距離を三歩から五歩、七歩と広げ、そして、待たせる時間も三秒から五秒、十秒と、毎日少しずつ延ばしてください。

このしつけは非常に大事なことなのですけれども、二十分も三十分も続けないでください。

長くても五分くらいできりあげてください。

あまり長々とやると、犬が飽きてやらなくなってしまいます。

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「まってよ、まってよ」と、ゆっくりいい続けてください。

犬が動いたら「ダメ」といって、また「すわれ」をさせてから、また[まつて、まって」といって、二歩ぐらいさがります。

三つぐらい数えて犬が止まっていたら、「おいで」といって、ちょっとかがんで自分の膝を両手でぽんと叩いてください。

犬がすっ飛んできたら凹いい子だね」といって、もう一回、その場で座らせて、ご褒美をあげてください。

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餌を与える動作をゆっくりやると、犬は立ち上がってきますので、座ったら「いい子だね」といって褒めて、さっと犬の口のところに餌を持っていきます。

そして、座った状態で餌を食べさせます。

これを何度かしますと、手をすっと上げながら「すわれ」といっただけで犬は座ります。

そうしたら、「いい子だね」と褒めてください。

次に、この場で待ってなさいというときは、犬を押さえつけるような動作で、両手を開いて犬のほうに向かって腕を伸ばし、ゆったりとした口調で「まって」といいながら、ゆっくりと二、三歩後ろにさがってください。

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生後二ヶ月から三ヶ月ぐらいの犬に、我慢させること以外にやらせることとしては、「すわれ」「まて」「おいで」と」ハウス」の四つくらいがあるかと思います。

まず「すわれ」の練習ですけれども、手に持った餌を犬に近づけてから、その手を犬の頭の真上にすっと持ち上げると、犬はどうしても座る動作をします。

そのときに「おすわり」ないしは「すわれ」と声をかけます。

そして、そこで座った状態でいるときに、素早く犬の口のところへ餌を持っていって与えます。

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ご褒美の餌をねだって要求吠えをした場合は、黙って後ろを向いてください。

犬が前に回ってきて、再び吠えたときはまた後ろを向いてください。

犬が困惑して黙った状態になったら、餌をあげます。

このようなことを繰り返すと、犬は要求することは、無意味であることを学びます。

要求吠えをする癖がついた犬を矯正するのは難しいので、生後二ヶ月から四ヶ月の小さいうちに、犬からの要求は通らないということを、犬にしっかり学ばせておく必要があります。

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