犬舎というと、箱形になったものをイメージすると思いますが、ここでは、愛犬が普段いる場所を含めて「犬舎」と言います。
犬舎に入るようにしつけるときの声符は「ハウス(HOUSE)」にし、「ハウス(HOUSE)」の声符で、犬が決められた場所へ迷わず素直に行くようにしつけます。
犬が理解しやすいように、教えはじめのころは出入口に戸がついている、箱形の犬舎を使って練習します。
室内で飼う犬の場合は、庭などの戸外に犬舎を置いて練習するとよいでしょう。
犬舎には屋外用と室内用があり、購入するときは、犬の大きさに合ったものを選びましょう。
高橋ナツコ(ペットシッター)
「八ウス(HOUSE)」の声符で犬舎に入ることを教えます。
さらに、犬が普段いる場所でおとなしく伏せているように教えます。
今までの訓練と同様に、あなたが不快な思いをしたときはしかり、声符に従ったときはほめるようにします。
高橋ナツコ(ペットシッター)
犬とともに猟場へ出かけて、犬と主人がしっかりと連携しながら真剣に仕事をすることは、獲物を取ることよりも楽しいものです。
とはいっても、やはり収穫があったときの帰り道は「愛犬の仕事ぶりがよかったから獲物を手にすることができたのだJという思いで、うれしさいっぱいです。
そんなときの犬は、しっぽをゆったりと左右に振りながら、主人のあとになり先になりながら「今日は成果ありですネ」とでも言っているかのように、うれしそうに歩いています。
反対に、収穫がなかったときの主人の足取りは重く、疲れた様子です。
犬もしっぽを垂れて、とぽとぽと歩いています。
犬は主人とともに泣き、ともに喜べる動物なのです。
高橋ナツコ
「モッテコイ」を教えるには、簡単に覚えてしまう犬もいれば、苦労して教えてもなかなか覚えない犬もいます。
覚えの悪い犬でも、根気よく教えれば覚えますから、あきらめずに教えましょう。
慣れてくると、ボールやフリスビーなども喜んで持ってくるようになります。
高橋ナツコ
犬の目の前にダンベルを転がして「モテ」と言ってくわえさせる。
犬がくわえたら「モテ、モッテコイ」と言って、犬を手もとへ引き寄せて愛撫する
このころになると、ダンベルに興味を持つようになるので、目の前にダンベルを転がして「モテ」と言うだけで、くわえるようになります。
こんどは、くわえたら「モテ、モッテコイ」と言いながら、犬を手もとへ引き寄せて愛撫します。
これが「モッテコイ」の練習の第一歩です。
ダンベルを転がす距離は少しずつ長くして、遠くから投げても持ってくるように練習します。
高橋ナツコ
受け取る次に、犬がくわえていたものを受け取る練習をします。
犬に20?30秒ダンベルをくわえさせます。
そのあと、くわえているダンベルを口から出させます。
ダンベルは必ず手で受け取るようにすることが大切です。
はじめのうちは、歩き出すとダンベルを口から落としてしまうことがよくあります。
落としたら再びくわえさせて、「モテ、モテ」と言って5メートルぐらい歩かせます。
落とさないで歩いたら愛撫して、「ダセ」の声符でダンベルを受け取ります。
歩く距離は5メートルぐらいから、少しずつ延ばしていきます。
40メートルぐらいくわえたまま歩けるようになるまで練習します。
高橋ナツコ
はじめは「モテ」の声符でものをくわえることを教えます。
ここではダンベルを使って教えますが、木の枝や木片などは犬が喜んでくわえようとしますから、ダンベルの代わりに利用できます。
まず、ダンベルを犬の目の前で前後左右に、小動物が動いているように動かします。
動物に強い興味を持ち、それをくわえようとする犬の本能を刺激するのです。
ダンベルを動かしているときは、「モテ、モテ」とけしかける口調で言います。
犬が強い興味を示してくわえようとしたとき、「モテ」と言ってくわえさせます。
そして、ダンベルをくわえさせたまま「モテ、モテ」と言って愛撫します。
もし、ダンベルを落としたら、再びくわえさせます。
この練習を繰り返していると、ダンベルを目の前で動かさなくても、「モテ」と言うだけでくわえるようになります。
高橋ナツコ
はじめは、50センチぐらいの障害物を飛び越えることを教えます。
障害物から1メートルぐらい離れたところで、犬といっしょに障害物に向かい合って立ちます。
犬に障害物を指し示しながら、ひもを短く持って犬が勝手に走り出さないようにします。
走り出すときは、「トベ、トベ」と言って、犬といっしょに走り出し、犬の動きをひもでコントロールしながら、障害物を飛び越えさせます。
あなたは、障害物の横を走るようにします。
このとき、犬が障害物を飛び越えずに、あなたといっしょに障害物の横を走らないようにしなければなりません。
このことに注意しないと、障害物を避ける癖がついてしまいます。
犬が障害物の横を走ってしまったときは、そのままにしないで再度練習し、必ず成功させてから訓練を終わらせるようにします。
常に成功させてから終わりにすることが、訓練を成功させる秘けつです。
高橋ナツコ
犬を外に散歩に連れ出すときに、出入口のところに30センチぐらいの高さの板を置きます。
板の高さは犬の年齢や体の大きさによって変えます。
犬が簡単にまたいで越えられるか、飛び越えられる高さにします。
犬の首輪につけたひもを持って、出入口のところに置いた板をまたぎながら、声符「トベ」を言って、犬が板を飛び越えるようにひもでコントロールします。
このように、板を2、3度飛び越えてから散歩に出かけるようにします。
「トベ」の声符で飛び越えるようになったら、少しずつ板の高さを高くして練習します。
高橋ナツコ
広い公園や空き地が近所にないような、都心部で育った犬の場合、ものを飛び越えることをとてもいやがることがあります。
しかし、ここで説明するような手順で教えればすぐに覚え、喜んで飛び越えるようになります。
高橋ナツコ
姿を隠している時間をはじめは5秒ぐらいにします。
確実に5秒間待てるようになったら、次は1分、1分が確実になったら5分、5分が確実になったら10分と、しだいに時間を延ばします。
少しずつ時間を延ばしていき、20分ぐらいまで落ち着いてしっかりと待っていられるようになるまで、繰り返し教えます。
高橋ナツコ
この訓練をしているときに、特に注意しなければならないことがあります。
犬は立ち上がってしまうことが多いものです。
立ち上がったときは、厳しくしかって再び伏せさせなければなりません。
しっかりと「フセ」の姿勢で待っていたら、犬のもとへ戻って愛撫する。
高橋ナツコ
次のような場合に、犬は立ち上がることが多いので注意が必要です。
(1)あなたの姿が離れて見えなくなったとき
(2)あなたが姿を現したとき
(3)あなたが犬のもとへ戻ったとき
(4)愛撫しているときや愛撫し終わったとき
高橋ナツコ
今度はあなたの姿が見えなくなっても、あなたが帰ってくるまで伏せたまま静かに待っているように教えます。
声符は「マッテイナサイ」にします。
練習した「フセ」で犬を伏せさせてから、「マテ」を言って犬から離れます。
離れながら声符「マテ」を「マッテイナサイ」に変えます。
犬は離れていくあなたを目で追っているでしょう。
落ち着いて待っているようならば、「待っていることができる」という気持ちを込めて、自信を持った態度で「マッテイナサイ」と言って物陰へ入り、犬から姿が見えないようにします。
5、6秒したら姿を現します。
姿を隠している間、犬がきちんと待っていたら「マッテイナサイ」と言いながら、走らず急いで犬のもとへ戻り、優しく愛撫します。
高橋ナツコ
ここでは、犬を単独で長時間待たせる訓練をします。
これができるようになれば、犬を買い物に連れて行ったときに、店先で待たせておくことができます。
そのほかにも、いろいろな場所で役に立つので、教えておくと便利です。
高橋ナツコ
どんな環境の中でも一度の声符で伏せるようにしましょう。
はじめは、散歩のときや街を歩いているときに突然「フセ」と言います。
ひと声で伏せないときは、もう一度「フセ」と言って、鼻のあたりを平手で打って伏せさせます。
伏せたら愛撫を忘れないようにします。
静かな場所、にぎやかな市街地など、どんな環境の中でも、一度の声符だけで正確に伏せるように教えます。
伏せないときは、平手で鼻のあたりを打つ。
高橋ナツコ
はじめに「スワレ」の声符で犬を座らせます。
犬と向かい合って座り、「フセ、フセ」と言いながら、犬の前足を静かに引いて伸ばします。
すると、犬は伏せた状態になりますから、そのままの姿勢で「フセ、フセ」と言いながら、愛撫します。
ひもは、犬が勝手に立ち上がったりしないように、床に押さえつけるようにしておきます。
高橋ナツコ
「スワレ」を教えるように楽ではありません。
伏せさせる方法はいろいろありますが、次の方法で教えましょう。
首輪に近いところのひもを持って、強く引き下げます。
このとき、犬がいやがって反抗したら、次のようにします。
ズルズルとひもが伸びないように強く握り、声符「フセ」を落ち着いた口調で言いながら、首が地面に着くように押し下げます。
これで伏せた姿勢になります。
なかには反抗して、伏せずに立ち上がろうと暴れる犬もいます。
そんなときこそ落ち着いて、声符が大声にならないように注意しながら伏せさせるようにします。
伏せたら、犬が気持ちよくなるように、「フセ、フセ」と優しく言いながら、一方の手で愛撫します。
いやがっていても、「フセ」の声符で伏せると愛撫されることを、犬に教えるのです。
これは、首の部位に触覚刺激を加えて伏せさせるやり方ですが、いつも触覚刺激を加えて伏せさせているようでは、実際に役に立ちません。
ですから、聴覚刺激「フセ」だけですぐに伏せるように、「フセ」と言いながら、首を地面に着けるように教え続けます。
ひもを持って強く引き下げる。
犬がいやがっても、ひもを強く握って首を押し下げる。
そのままの姿勢で「フセ、フセ」と言って愛撫する。
高橋ナツコ
「フセ」は、犬によって覚え方に差がある科目です。
簡単に覚える犬もいれば、なかなか覚えない犬もいます。
いずれにしても、伏せることは犬にとって楽な姿勢ですから、待たせておくときには、犬を伏せさせておくとよいでしょう。
高橋ナツコ