訓練用の爆弾の包みは八番目の部屋のタンスの中にかくしてあります。
爆弾捜査犬は、ひとつひとつの部屋を嗅ぎまわりますが、入り口付近で判断できるのか、該当しない部屋ではさっとひきあげて次に移ります。
その間、ハンドラーは犬に声をかけ続けるのです。
「実際の捜査でも、捜査犬のうしろからこうやって、ハンドラーがはげましているんです」。
説明してくれたのは、爆弾捜査犬の訓練チーフ、デビッド・フユーラー氏です。
先に見学した図書館には、1983年にクリスマス・ボンブで死んだシェパードのクイニーと、その時に両足を失ったハンドラーの元気なころの写真が飾られています。
ハンドラーと捜査犬は、常に修羅場をくぐりぬける同胞なのです。