発情状態をどう見分けるか・・・高橋ナツコ

「雌動物が雄を迎えて交尾に応ずる性欲の発動を発情という。この時期の雌は動作や態度に変化があり、不安、興奮、食欲の変調をきたし、外陰部の腫大、膣粘液の流出の増量などが起こる」(星修三著・犬の繁殖生理く文永堂刊V)というのが、動物一般の発情についての学問的表現ですが、犬の発情徴候の特徴としては、外陰部からの出血があげられ、「出血が発情のはじまりである」と、どの本にも記されています。

出血の量はまちまち出血の量は、犬の個体によつてかなりの差があり、ほとんど出血がみられない例から、床を点々と血液でよごすものまでさまざまです。

出血の量だけで発情が正常であるか、異常なのかを判断することはできません。

出血で発情の発見がしやすいというぐらいの意味に考えておいてください。

無出血のこともめずらしくない出血に気づかないうちに、発情が進行して、交配の適期になっているというケースが少なくありません。

こういう例は、特に小型犬に多いのですが、出血量が少ないため、犬が自分でなめて始末してしまうので気づかなかったという例と、まったく無出血の発情との二つの場合があります。

しかし、肉眼的に出血が認められなくても、分泌物を顕微鏡で調べると、赤血球が多数認められ、出血の所見はあるわけです。

雌犬が、しきりにお尻のほうをなめているときは、よく観察し、外陰部がふくらんでいるようにみえたら、出血がなくても獣医師にスメアー検査(分泌物の細胞検査)を依頼するのがよいでしょう。

出血期間にまどわされないようにアリストテレスが記載した出血期間の七日は、はっきりした出血を示す例の平均的日数で、これから先、だんだんと出血がうすくなってきます。

そうしてピンク色から、さらに薄くなった頃が交配適期といわれていますが、分泌物の色だけで判断するのはあやまのです。

高橋ナツコ

このブログ記事について

このページは、-が2012年8月11日 00:58に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「アリストテレスの犬の繁殖に関する記述・・・高橋ナツコ」です。

次のブログ記事は「ワクチンの予防効果・・・高橋ナツコ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.12