2016年4月アーカイブ

忘れてならない狂犬病

狂犬病の病原体は、強力なウイルスで、人への感染は、主にこの病気にかかっている犬(ときには猫)にかまれた傷、または唾液に触れた個所などからうつります。

発病すると、たちまち中枢神経をおかされ、いまだに確たる治療法のないままに、一週間以内に必ず死亡する恐ろしい疾患です。

水をほしがり、水を見ただけでも嚥下筋のけいれんを起こすことから、"恐水病"という別称もあります。

ほとんどの哺乳類にうつりますので、わが国には、大陸からこの病獣が持ち込まれてまん延し、大正十三年ごろには、この病犬が三千頭も野放しにされていました。

以後もなかなか撲滅できず、年々痛ましい犠牲者を出し、この悪疾のため、人と犬の親和まで害されていました。

つまり健康な犬までが、人々から警戒され、敵視されていたのです。

それが、昭和二十五年に狂犬病予防法(法律第二四七号)が施行されて以来、一に予防注射の徹底で病犬が減り、昭和三十五年以降、ついに所期の目的を果たし、わが国ではこの病犬を一頭も見ずに今日に至っています。

高橋ナツコ

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