売春をなりわいにするしかないといった苦しい時代だったのです。
そんな時代に「動物に対する残酷な行為の防止」を目的とする団体が民間で考えられ、善意の人々の強い意志によって動き出していたというのは驚異です。
歴史や文化を知れば知るほど、この国のふところの深さを感じてしまいます。
協会の財政難は深刻でしたが、度重なる戦争も、二度の世界大戦もその運営を妨げず、現在、独自に三〇〇人の団体調査員を持ち、支部の総数は二〇七にのぼる世界で最も大きな保護団体のひとつに成長しました。
報告書では、1992年には八万八六三二件を調査し、そのうちの三〇〇三件におよぶ動物救出を記録しています。
高橋ナツコ